泣きじゃくった セールス経験 物語り 「明日から裸でいればいいの?」

今日は「物語」をどうぞ!!

閉店の日にお客様から
「私、明日から裸でいれはいいの?」と泣かれてしまいました

ここはデパート、婦人服売り場の一番隅の少し狭くて暗い場所
ブランドコンセプトは「ハイミセスのハイセンスな装い」
ちりめんのブラウス(50,000円)などを販売していました

北は丸井札幌から
南は熊本鶴屋まで
全国67店舗のデパートが買い場です

年金支給日にお客様はいらっしゃいます
車いすに乗って、杖をついてお客様はいらっしゃいます
販売員さんに会いたくてお客様はいらっしゃいます

お客様は70歳~100歳
もう新品のお洋服なんかいらないのに販売員さんに会いたくて来店されます
いつもお土産を持って

ベテラン販売員さんは55歳~80歳
老眼鏡かけて値札を見ないと危ないです
転んだ!! 労災も頻繁に起こりました

販売員さんが、長い間コツコツと一人ひとりのお客様に寄り添って
「続けてきた」ことでご贔屓さんになっていただけたのです
このころは「バズル」もないので
販売員さんの人柄が商品を輝かせていました

それでも時代の流れには逆らえず
地方のデパートから順番に閉店の波が押し寄せ
ファストファッションの力に負け

この婦人服ブランドも幕を閉じることになりました

最後の店舗巡回は島根一畑百貨店でした

そこで

「私、明日から裸でいれはいいの?ここがなくなったらどこで洋服を買えばいいの」
と泣かれてしまったことは、いまでも忘れません

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